こゝろ

念願叶いようやく読みました。
昔、「めぞん一刻」で引用されて興味を持ち買いましたが、途中まで読み
なにやらしっくり来なくやめてしまいました。やはりあの頃では
ハードルが高かったのだと思います。最近、催眠ボイスでお馴染みのカン・サンジュン
先生がメディアで取り上げているせいもありました。


感想。「私」には親近感を覚えました。地方から東京に出てきている。
思想的にはふわふわしている。世の中を冷静に眺めている。
地方にいる家族との関係。「私」の父が学問なんかやらせると田舎に
帰ってこないと嘆くシーンが印象的でした。100年後の今もこれは
同じでしょう。漱石は人の心のひだを丁寧に読み抜き書いています。
この文体は心地よい。若干神経過敏で晦渋だとする向きもあるでしょうが。
とりあえずこのまま後期三部作は読んでしまおうかと思っています。


再びめぞん。めぞんでは八神が「先生のこころが知りたいのです!」
とか言ってまぁ軽くなっちゃいましたけど。あらすじの紹介とか面白かったですよね。
「よござんす。さしあげましょう。」の台詞はそのままで笑ってしまいました。
本編の内容は至極深刻ですな。
あと、東京の地理が頭にあるとイメージはしやすいですね。これも地方の人間には
ハンデです。とりあえず10何年来の忘れ物を取り戻しました。